蜂殺し

ところでこの文章を書いてるところ、丁度巨大な蜂が侵入してきたのである。禍々しい見目形の毒虫の闖入にはさすがの我輩も肝を冷やすところ多し。小心と笑うなかれ、其の蟲の大なること我輩の愚息ほどもあり、グロテスクなこと我輩の(以下略
この悪逆の動物如何にも我が家屋の中に営巣を開始せんと見えたるがゆえに、我輩も悲壮の決意を持ってこれを殲滅せんと覚悟せり。然れども彼の節足類めは甚だ強き毒気を有する、ようやく弱冠を越えた厚顔の微青年たる我輩にも必ずや危機をもたらさん。頭巾にて頭部を多い、厚手の上着を着込み首巻で顔と首を覆い隠し、右手に蠅落し、左手に大日本除虫菊株式会社謹製キンチョール殺虫剤を持して戦いに臨まん。
<続く>