ナツのイカヅチ

彼方の山の向こうに遠雷の轟く。
地を打ち鳴らす鼓の響き絶えざる、
天上に燃える真っ白な火の漏れる其の度に、
真っ闇の底に息を潜めて沈んでいる家や動物や人間どもの
静かに怯える声がする声がする。
 
こんなにも我ら紫白の光が恐ろしいのだと。
 
盾するにあまりに脆い夜の闇に
それでもみな逃げ込む一時の眠り求めて。
天の暴虐する鼓吹の向こうに、
それでもどうか世界の眠り給へと祈らん。
 
(0500時)